« 収支相償判定の1段階において赤字の事業と黒字の事業がある場合の取扱いについて。 | メイン | 公益法人会計基準について。 »

医師会、歯科医師会、薬剤師会が行政から委託を受けている事業(健診、予防接種等)の公益目的事業への整理について。

こんにちは。上田公認会計士事務所の上田久之です。
医師会、歯科医師会、薬剤師会様が行政から健診、予防接種等の事業を受託していることがよくあります。そして、医師会全体としての事業のうちで受託事業のウエイトが高く、これらを公益目的事業としない限り、公益認定が難しい事例について対応を考えてみます。

1.医療事業の公益性
 まず、健診事業としては、特定健診やがん健診、乳幼児健診がありますが、健診事業は医療にかかわる事業ですから、公益認定等委員会のFAQ9?10で明らかにされているように、医療に関しては、その医療を通じてどのように社会に貢献するのかを明らかにする必要があります。
そのため、単に健診事業として公益性を主張するのではなく、例えば、学術講演事業と併せて住民の健康増進に寄与する事業として事業をくくることも有効と考えます。
 また、平成22年4月28日の「委員会だより3」においてもよくある誤解として「医療事業は殆ど公益目的事業として認められないのかとの質問に対して、そんなことはありません」と回答していることも心強い見解といえます。
 また、本ブログでも以前に述べたことがありますが、大分県成人病健診協会において「県民の健康増進に寄与する事業」として、「健康診断」、「健康指導」、「健康教育」の3事業を一体運用することで公益認定を受けた事例も参考になります。

2.収支相償の検討
 これら健診事業や予防接種を公益目的事業とする場合、次に、収支相償の要件を検討します。健診事業は通常の場合、行政からの受託単価と医療機関への委託単価が一致しているので、直接の収入と支出の対比の段階では利益は生じません。
しかし公益法人では、収益事業や共益事業の利益の50%以上を公益目的事業に繰り入れることになります。また、費用面では、従来、管理費で処理していた人件費や医師会館等の維持費用等で公益目的事業に配賦される費用もあり、収入と費用について、新新公益法人会計基準に基づいて処理した結果により収支相償の要件を判定します。
 この収支相償要件の判定の過程において、利益の出ている健診の部門があれば、収益事業の方へ整理することもあります。利益の出ている健診部門を収益事業へ移すことにより残りの健診事業の公益性をより説明し易くなることもありますし、収益事業会計が赤字であることにより「公益目的事業の実施に支障がある」とされることを回避する効果もあるからです。

3.公益目的事業比率の検討
 次に、健診事業や予防接種事業を公益目的事業とした場合に公益目的事業比率が50%以上となるかを検討します。健診事業や予防接種事業を行政から受託できなくなった場合に、公益目的事業比率がどのように変動するかも検討しておく必要があります。

4.合目的性の検討
 次は、事業が医師会、歯科医師会、薬剤師会様等の法人の目的と適合するかについてです。
健診事業や予防接種事業は地域社会の保険衛生と福祉の増進に寄与するものですから、定款の目的や事業に沿ったものとなるはずですが、もし、それが定款に照らして当てはまらない場合は、定款の条項も検討する必要があります。

5.技術的能力の保有
 次に、公益目的事業と認定されるためには、公益目的事業を行うために必要な技術的能力を有しなければならず、事業を外部に丸投げしていないかを検討します。例えば、「検体検査」を他の民間の臨床検査会社へ再委託したり、集団検診を他の民間の医療機関へ再委託する場合に技術能力の有無が問題となります。又、健診等を医師会の会員に委託する場合に、その委託行為が公益認定において支障があると判断される恐れがあることも注意しなければなりません。

6.公益認定された実績
 最後にその事業と類似する事業について公益認定の実績があるかどうかを検討することになります。最近は獣医師会、青年会議所、交響楽団、農業公社等、一つの事業が公認認定されると、次々と類似の事業を行う法人が公益認定されているので、実績があるかどうかも重要な判断要素となります。

※上田公認会計士事務所では公益法人制度改革に関する専門のコンサルタントがコンサルティングを行っております。

詳しくは、当事務所公益法人担当者(穂積、松井)までお尋ね下さい。

About

2010年06月25日 16:37に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「収支相償判定の1段階において赤字の事業と黒字の事業がある場合の取扱いについて。」です。

次の投稿は「公益法人会計基準について。」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.35