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開業医の相続税

2013年10月21日、日経ビジネス

静岡市の開業医、Xさん(80歳)が、足腰が急激に弱まり、引退を決意したのが今年の正月。自宅兼診療所の承継者は、大学病院で内科医を務める長男(52歳)。Xさんにはさらに2人の娘がいるが、それぞれ主婦で医師免許は保有していない。Xさんは元日、親子が顔を揃えたタイミングで、3人の子供と相続の話し合いを持った。ところが、それが思わぬ兄妹の対立に発展した。

自宅と病院設備は長男、預貯金は兄妹で3等分
預貯金

自宅と病院設備は長男が承継者として相続。そして、Xさんの預貯金は兄妹で3等分することで話し合われた。

医者になるための教育費
医療設備投資の回収

預貯金は3000万円余。「医者だったのに、そんなもの?」。妹たちは、愕然とする。長男が私立大学医学部に入学し、巨額の教育費がかかったことや、医療設備投資の回収に相当な年月を費やしたからだ。

土地の評価額
ほとんど手元に遺産が残らない

しかも、税理士に相談すると、土地の評価額が予想以上に高く、預貯金から相続税を差し引くと、ほとんど手元に遺産が残らないことが判明する。

私立医大の教育費
遺産の取り分

娘たちにしてみれば長男に土地、建物を奪われたうえ、自分たちの遺産の取り分はほぼゼロという想定外の出来事。そこで、こう主張した。「兄さんを一人前の医師にするために私立医大に行かせ、その教育費は1億円に上る。これは生前贈与と同じ。だからお父さんの相続時には、私たちも最低1億円、きっちりともらう」と。

特別受益
生前贈与

妹たちの言い分は、「兄がこれまで特別受益を受けており、相続時に相殺されてしかるべき」。相続税制上、特別受益は生前贈与と見なされる。Xさん一家のようにキャッシュが少ない場合、承継者以外の相続人が遺留分を主張した場合、承継者の相続分が減額されるだけでなく、最悪、病院を売却しなければならなくなる。

公認会計士

代替わりが招く廃業

開業医の相続に詳しい公認会計士の上田久之氏は、「開業医などの場合、兄弟平等に配分することが難しい。医師は財産分与のアンバランスでトラブルに陥りやすく、そういった相談が最近、増えてきている。診療所医師の多くが子供に医院を承継させる傾向にあり、医師の高齢化ととともに、相続トラブルの増加も懸念される」と話す。

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損税対策

2013年12月1日、日経ヘルスケア

「消費税が引き上げられたら、なすすべがない」。そう思って諦めていないだろうか。

だが、消費増税は経営全般を見直すまたとないチャンスでもある。

損税リスクに耐えられる経営体質
納税方法、購買品、業務委託

納税方法、購買品、業務委託などの項目を点検し、損税リスクにも耐えられる経営体質を目指したい。

納税方法の見直し
課税売上割合が高ければ検討を

消費税の納税方法を見直せば、節税につながる可能性がある。

課税、非課税の売り上げが両方ある事業者
仕入れ控除税額の計算方法

課税、非課税の売り上げが両方ある事業者の場合、仕入れ控除税額の計算方法は、後述する特例を除き、「一括比例配分方式」「個別対応方式」の2通りだ。対象となる事業者は、(1)課税売上割合が95%未満の事業者、(2)課税売上割合が95%以上で課税売り上げが5億円超の事業者──である。収入の大半を消費税非課税の診療報酬・介護報酬が占める医療機関・介護事業者の多くは(1)に該当し、原則としてこの二つの方式のどちらかを選ぶ。

課税売上割合が95%以上の事業者
消費税の全額を控除

なお、課税売上割合が95%以上で課税売り上げが5億円以下の事業者は、課税仕入れなどにかかる消費税の全額を控除できる。

一括比例配分方式
事務処理を簡単に行える

計算が容易なのは、一括比例配分方式だ。課税仕入れなどにかかった消費税額に課税売上割合を乗じれば、仕入れ控除税額を算出できる。これを課税売り上げで得た消費税額から差し引いた残りが納税額となる。事務処理を簡単に行える点がメリットだ。

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